Liquid AI Japan主催のハッカソン「Hack the Liquid WAY」に参加してきました!
本イベントは、最先端のローカルLLMであるLFM(Liquid Foundation Model)を使い、ソリューション提案 or LLMモデル改善を行うハッカソンでした。
以下、体験記です。
■ハッカソンのリンクページ
どんなハッカソン?Liquid AIとは
そもそもLiquid AIとは何ぞやという話ですが、MIT CSAIL(MITのコンピュータ科学・AI研究所)発のAIスタートアップです。
Liquid AI設立の背景には、Liquid Neural Networkという研究があります。
これは、少ないパラメータ数で時系列データを扱い、環境変化に適応しやすいニューラルネットワークを目指した研究です。自律ドローンやロボティクスなど、入力が連続的に変化する分野で研究されてきました。
その後、Liquid AIは2023年にMIT発スタートアップとして本格的に活動を公開し、2024年にはLiquid Foundation Models、通称LFMを発表しました。
LFMは、ChatGPTのような巨大クラウドLLMとは少し方向性が違い、「小さく、速く、メモリ効率が良く、エッジやオンプレミスでも動かしやすい」ことを強く意識したモデルです。
LFMが少ない計算資源で性能を出す理由の一つは、モデル構造にあります。
一般的なTransformer型LLMでは、入力トークン同士の関係をAttentionで計算します。Attentionは強力ですが、入力が長くなるほど計算量とメモリ使用量が増えやすい構造です。一方、LFM2系ではTransformerだけに依存せず、短い畳み込み、Grouped Query Attention、ゲート構造を組み合わせたハイブリッド構造を採用しています。
すべてをAttentionで処理するのではなく、軽い演算とAttentionを組み合わせることで、計算量とメモリ使用量を抑えています。

https://www.liquid.ai/ja/blog/liquid-foundation-models-v2-our-second-series-of-generative-ai-models より引用
2026年にはLFM2.5シリーズも発表され、1.2Bクラスの日本語モデル、Vision-Languageモデル、Audio-Languageモデルなどが公開されています。
今回のハッカソンは、このLFMを使って、日本市場向けのソリューション提案/モデルチューニングを行うイベントでした。
また、以下の豪華なスポンサーがサポートしてくれました。
- AMD(NPUが使えるRyzen AI PC貸出)
- Weights & Biases(評価の基盤案内)
- Hugging Face(モデル公開、学習用に$150 credits)
- WAY Equity Partners(日本の課題サポート)
参加した経緯
よく一緒にハッカソンへ出ている友人がX(Twitter)経由でこのハッカソンを知ったみたいで、ハッカソンの情報共有してもらい、自分が出るなら出ると言われたので「出よ~!」と誘いました。
元々自分はエッジAIカメラを扱う仕事をしておりCNN系~少しTransformer系は触っているのですが、エッジLLMはほとんど触ったことがなく(gpt-oss系くらい)、エッジAIエンジニアを名乗るからには精度感やエコシステム状況の知見を得ておきたいな、という狙いもありました。
まあ独身に戻ってしまったので、ハッカソン誘われたら予定なければ大体出ます!
スケジュール
応募~開始前
オンラインで参加申請しました。1チーム1~3人とあり、自分+友人+友人の会社同僚の3人でチームを結成し応募しました。
(一応審査があったっぽいですが、最終的に25チーム?、60人ほどの参加者でほぼ通ったのではと思います。)
事前準備として、LFMをローカルで動かしてみて性能やエコシステムの把握を進め、少しアイディアの議論をしました。過去ハッカソン情報を調査して纏めました。
前日に参加者はDiscordに招待され、審査やラップアップの案内を受けました。
1日目
1日目のスケジュールは以下でした。
| 時刻 | 内容 |
|---|---|
| 09:00〜09:30 | 受付&ウェルカム |
| 09:30〜10:15 | オープニングセレモニー、テクニカルキックオフ、ユースケース探索 |
| 10:15〜10:30 | ネットワーキング&チームビルディング |
| 10:30〜12:30 | ハッキング開始 |
| 12:30〜13:30 | ランチ |
| 13:30〜16:00 | ハッキング |
| 15:00〜16:10 | Day 1 Wrap-up |
午前中は、オープニングと技術説明を聞いたあと、チームでアイディア検討を進めました。ソリューション提案部門とファインチューニング部門のどちらかを選択する形式で、自分たちのチームは(同僚が国産LLMを作っていることもあり)後者を選択しました。
技術よりの部門とはいえ「日本の課題を解決する」(≒Liquid AI社が日本市場に進出するための案を提示する)ことが評価指標になっていたので
-
ローカルで動く意味があるか
-
小型モデルであることが価値になるか
-
日本市場向けの課題になっているか
-
デモとして伝わりやすいか
を意識して考える必要がありました。
13:30くらいまでアイディアの議論をしていて、昼食後に以下のように纏めました。
|
No. |
アイデア |
セキュリティの必要性 |
速度の必要性 |
コスト効率の必要性 |
チューニングの必要性 |
面白さ |
収益性 |
社会課題度 |
|
A |
ATM |
5 |
3 |
5 |
4 |
4 |
3 |
5 |
|
B |
サイネージ |
5 |
3 |
2 |
2 |
4 |
4 |
2 |
|
C |
寿司AI (熟練の技を伝える) |
2 |
1 |
1 |
5 |
5 |
2 |
1 |
|
D |
LLM監視 |
5 |
4 |
5 |
3 |
4 |
5 |
4 |
|
E |
方言翻訳 |
5 |
3 |
2 |
5 |
5 |
1 |
5 |
|
F |
物流トラック監視 |
5 |
4 |
3 |
4 |
2 |
4 |
5 |
その上で、
・せっかく休日を使って参加するので、評価とか抜きに自分たちが興味あり面白いと思うものをやりたい
という共通合意を取り、「勝ちそうな案」「興味のある案」を会話した上で、LLM監視のアイディアにしました。
(Sechack365出身者2名+低レイヤ勢のメンバーだったことも影響したと思います)
理想はルータなどパケットを見てローカルLLMで処理させたい!という入口から始まり、現実的にL2~L3レイヤの処理は難しかったので、
・クラウドLLMにもデータ利用制御やガードレール、エンタープライズ向けの保護機能はあるけれど、クラウドに送信する前に検知したい!
→ローカルでセンシティブ情報を検知したい。クラウド側LLMとの共存/協調が現実的なソリューション!
というテーマにしました。
テーマが決まった後はすんなり分担ができ、
・Fさん:モデルのファインチューニング、データセット構築
・Kさん:LFMを動かすプロキシサーバの開発、Ryzen AI PC構築/NPU活用
・自分:プロジェクトマネジメント(スライド、デモ準備、サポート)
という形で進めました。
16時に現場は解散し、各自家で作業を進めました。
寝る前にファインチューニングは始まり、プロキシサーバの開発は一通り終えていました。素晴らしい👏自分はスライドの枠(ビジネス回りの話)を作りました。
2日目
2日目は以下のスケジュールでした。
| 時刻 | 内容 |
|---|---|
| 09:00〜09:30 | Welcome Back / ウェルカムバック |
| 09:30〜14:30 | Hack + Lunch / ハッキング+ランチ |
| 14:30〜15:00 | Submission Deadline / 提出締切 |
| 15:00〜18:00 | Demo Session(5 mins per team)/ デモセッション(各チーム5分) |
| 18:00〜18:30 | Judge by the Human Judges + Vote by Audience / 審査員評価+オーディエンス投票 |
| 18:30〜19:00 | Awards Ceremony + Closing / アワードセレモニー+クロージング |
| 19:00〜20:00 | Networking + Dinner / ネットワーキング+ディナー |
チームとしては、朝09:15~09:30に集合し、13:00までは個々で開発しました。
(ファインチューニングするモデルを間違えて再学習したり、NPU動かすのが難しかったり、Ryzen AI PCでClaudeが動かなかったり、少しバタバタ気味でした
その後、以下の提出物を纏めて、提出しました。
・デモ動画
・プレゼン資料
・Github、Hugging Face、Weights &Biases提出用URL作成
成果物
「PromptGate」を発表しました!
■まとめ
・Cloud LLMに送信する前のプロンプトを、プロキシサーバ or VScode上のローカルLLMが検閲。ユーザーは普段通りにLLMを使えばOK!
・ ファインチューニングしたら性能が数%→80%ほどに挙がったよ!
以下、代表的なスライドです。


帝国データバンク2026年の調査によると、日本での生成AI導入は未だ34.5%で発展途上で、14.2%が検討中。41.7%の企業がデータ漏洩を気にしている話をして、システム構成図を紹介しました。

- もともと「LFM2-350M-PII-Extract-JP.」という一世代前のモデルでセンシティブ情報を抽出するモデルはあったのですが、そこにカテゴリを追加した
- データセットは、OpenPII 1.5M+ner-wikipedia-dataset+Gemmaで自作したものをマージして利用
- ファインチューニング後に、カテゴリ拡張したデータセットでの検出を確認

以下、スライド+デモ動画(Youtube)です。
普通のノートPCで「Prompt: 8049.1 t/s | Generation: 305.2 t/s」と爆速なことにもご注目下さい。
参考リンク
スライド(PDF)
Githubページ
Hugging Face
Weights &Biases
感想
国際的なハッカソンで(半分くらい海外の方)、ローカルLLMの可能性を実際に手を動かしながら感じることができて、とても楽しかったです。
自分はClaudeを2024年から課金して使っており、最近はCodexやGeminiにも手を出しているなどクラウドLLMをかなり重用しており、正直なところ、ハッカソン前は「ローカルLLMはまだ用途が限られるだろうな」と思っていました。
しかし、実際に触ってみると、想像以上に精度・速度ともに実用的な段階まで来ていると感じました。2008年ごろに電子機器の集積技術の発達でPCからスマホへ主役が移っていったときのように、AIの実行環境もクラウド一辺倒から、ローカルやエッジを含めた使い分けに移っていく転換期に入り始めているのではないかと思いました。
もちろん、現状では何でもローカルLLMで置き換えられるわけではなく、特定用途向けの使い方が中心になりそうです。
ただ、特定用途向けにファインチューニングされた複数の小型LLMが、それぞれの役割を持って協調して使われる未来は、かなり近いのではないかと感じます。
クラウドLLMの料金が高くなっている昨今(2026年6月のGitHub Copilot料金改定など)巨大LLMにすべて投げるのではなく、用途によってはローカルLLMを容易かつ安価にホストする事例が増えていきそうです。
また、チームメンバーのプレゼンのおかげもあり、最終的に Audience賞 をいただくことができました!
(個人的な話をすると、10年ほど一緒に活動している後輩くんのプレゼンスキルが圧倒的に成長していて、それがかなり嬉しかったです。笑いも取っててすごい👏👏
最後までデモ向け環境をデバッグしてくれたメンバにも大感謝です!一緒に出てくれてありがとう~🫰

いつか宇宙や人工衛星でLLM動かしたいな~
Liquid AI hackathonハッカソンに参加してきました!
— aki310 (@fox_aki310ooooo) June 7, 2026
エッジLLMの高速さとFine tuningでの精度向上を体験する素晴らしい機会で、凄く技術的な可能性を感じました。チームメイトのおかげで景品も貰えて嬉しかったです✌
(↓高速で見るプレゼン+デモ動画https://t.co/O9yAjORIS4


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