2026年7月18日に開催された「Hack Fes. 2026」に、ボランティアスタッフとして参加してきました。
本記事は、体験記+講義のメモです。

HackFesとは
以下、公式引用
「Hack Fes. (ハック・フェス)」は、2023年から開始された、セキュリティ・エンジニアを対象にした対面開催限定のイベントです。専門知識を学んだり、スキルを磨いたりする場であるとともに、参加者同士が直接交流できる機会を提供することを目的としています。Fes.(フェスティバル)というイベント名を選んだのは、堅苦しいお勉強のイベントではなく、多くの人が集まることで生まれる「ワクワク感」や「楽しさ」を共有し、参加者とともに「お祭り」を作り上げていくことを目指しているからです。
デジタル化の急速な進展に伴い、サイバー攻撃の脅威は企業や社会基盤まで広がっており、防衛能力の強化は喫緊の課題となっています。昨年、サイバー対処能力強化法及び同整備法が成立・公布され、能動的サイバー防衛の実現に向けた検討が本格化しました。
このような状況下で、サイバー防衛は専門家だけの課題ではなく、組織のセキュリティ担当者やアプリケーション開発者など、幅広い人材にとって重要な知識領域となっています。
そこで、HackFes.2026では、セキュリティ研究者やエンジアはもとより、学術界や防衛関係者など、さまざまな分野の専門家に登壇いただき、攻防両面の知見を共有していただきます。
一般社団法人「日本ハッカー協会」が運営するセキュリティ系イベントです。
理事にはセキュリティ・キャンプ、SecHack365、SECCONなど、日本のセキュリティ人材育成やコミュニティ活動に長年関わってきた方々が名を連ねています。

2023年から毎年開催されており、
今回のHack Fes. 2026のテーマは、「ハッカーとサイバー防衛」。
セキュリティ研究者やエンジニアだけでなく、学術界、防衛関係者、警察、法律など、さまざまな分野の専門家が登壇しました。
朝10時から17時30分まで、3つの講演トラックとハンズオンが並行して開催されており、講演・スポンサーセッション25枠+ハンズオン3枠=合計28セッションありました。他にも企業ブースや技術本交換所、求人ボードもありました。
ボランティアスタッフに応募した経緯
過去にSechack365というセキュリティイノベーターを育成するハッカソンに参加し、SNSでセキュリティ界隈と繋がっていました。数年前から当時の知人/フォロワーさんが本イベントに参加していて知っており関心を持っていました。
そんな中、5月ごろにTwitter(X)でスタッフ募集の投稿を見て応募しました。
ボランティアスタッフ募集開始!
— 一般社団法人日本ハッカー協会 (@JapanhackerA) 2026年5月15日
Hack Fes. 2026をお手伝いいただくボランティアスタッフを募集します。
【日程】
2026年7月18日(土)08:00〜18:00
【場所】
・UDX Gallery + Gallery Next(〒101-0021 東京都千代田区外神田4丁目14-1)
・JR秋葉原駅より徒歩1分
【業務内容】… pic.twitter.com/3M0sIlf3Et
参加費4000円+ネットワーキングパーティ代7000円が無料になる太っ腹で、交通費やお弁当代も出る、これは申し込むしかない。。!

また、真面目な動機を話すと
元々勉強会とかSWイベント/カンファレンスの運営を何度かやっていて、スタッフとして参加する方が色々な人と繋がれて貴重な話を聞けると実感していたのもあります。
(↓去年の別イベントでのスタッフ活動例)
「自分を育ててくれたSWコミュニティに対し、運営側に回り還元していきたい」という動機に合わせて過去の活動実績を書いて、かつ今回は友人や所属コミュニティが発表側にいて是非聞きたい、という旨を応募フォームに書いて提出し、採用されました。
(ちなみに、2025年もボランティアスタッフ応募したのですがその時は落選でした。笑
今年は2~3倍ほどの倍率だったみたいです。
Hack Fes. 2026 ボランティアスタッフに多数の応募をいただきありがとうございました。20名ほどの枠に対して、45名以上の応募があり、倍率は2倍強となりました。皆さんの熱意あふれるコメントに、選考は本当に悩みました。…
— 一般社団法人日本ハッカー協会 (@JapanhackerA) 2026年6月19日
当日の仕事
朝8時に秋葉原UDXに集合し、オリエンテーション/Tシャツ着替え等をしました。
その後、6つのグループに分かれ、「受付・会場設営・グッズ配布・電源設置・案内・整理券配布・タイムキーパー」などを行いました。
講演が始まった後は(チーム内で話し合った上で)比較的自由に行動させてもらい、興味のある講演に参加できました。
参加した講演
イラン戦争に学ぶサイバー空間での攻防の現状と今後:齋藤 孝道(明治大学 教授)
2026年2月、米国・イスラエル連合による対イラン軍事行動が開始されました。本件では、作戦に先立ち、イラン国内のネットワーク機器や民生デバイスへの侵害が行われていた可能性が指摘されており、これがその後の精密打撃の有効性を高めたとの分析もあります。さらに、作戦初動において指導部への集中的な打撃が実施されたとされており、サイバー空間での事前準備がキネティックな軍事行動と高度に連動していた点が注目されます。
また、火力攻撃と並行して、連合側による情報発信・認知領域での働きかけが観測されており、戦場は物理空間にとどまらず、情報空間においても同時展開されていたと考えられます。
一方で、戦局の進展に伴い、イラン側はサイバー攻撃や影響工作などの非対称的手段による対抗を強めており、戦闘の重心が徐々にサイバー・情報領域へとシフトしている様相も見られます。
本講演では、本事例をケーススタディとして、現代戦におけるサイバーセキュリティおよび情報戦の位置づけを、ISR(情報収集)、指揮統制への介入、キネティック作戦支援といった観点から整理するとともに、民生インフラやデジタル基盤が戦略的リスクとなる構造について、技術者の視点から考察します。特に、サイバー空間が主戦場そのものではないとしても、作戦の成否を左右する前提条件や環境を形成する領域として機能している可能性について検討します。
イラン政府には国民監視システムがある。そこをサイバー攻撃し、要人の所在地をおおよそ事前に把握しておくことで、1分での作戦遂行を可能にした 。
米軍は数年前から数万機のドローンを偵察・攻撃に使っており、集めた映像データ解析に19人の分析官が必要だったが、LLMの登場によりキルチェーン(意思決定速度)がより加速している 。
不正アクセスにとどまらず、状況認識から意思決定までAIが実質。基盤モデルでは勝てず、世界モデルが必要。Delta、Prismaなどドローン統制プラットフォームなど。
生成AIより低スキル人材が戦力化、サイバー傭兵との分業化が進んでいる。
物理的攻撃だけでなく、SNS投稿により思考をハックし意思決定を遅らせる等で政治的目標を達成させる。
(例 2016年米大統領選挙プロジェクト・ラフタ)、偽動画によるAIスロップ、敵対国における確率論的テロリズム行動
親イランSNS投稿(開戦直後59403件/24h
イラン戦争に学ぶサイバー空間での攻防の現状と今後
— aki310 (@fox_aki310ooooo) 2026年7月18日
齋藤 孝道(明治大学 教授) 呟きメモ#HackFes https://t.co/1viBCveuSf
量子技術による暗号への脅威と量子耐性をもつ暗号システムの可能性:富田 章久(NICT:国立研究開発法人 情報通信研究機構 主幹研究員)
量子コンピュータの進歩により公開鍵暗号が効率的に解かれる可能性が従来から指摘されてきた。今年3月に相次いで発表されたリポートでは、楕円関数暗号解読に必要な物理量子ビット数が1万にまで低減する可能性やビットコインの平均ブロック生成時間内に秘密鍵が解読される見積もりが示され、量子コンピュータにより暗号が解かれる日(Q-Day)が現実味を帯びてきている。本講演では量子による計算加速の原理から始めて、量子コンピュータ開発の見通しをできる限り公平に解説する。さらに、計算量の困難性に依存しない安全な鍵配布(量子暗号配布)を紹介し、耐量子暗号と組み合わせた暗号システムについても議論したい。
NISTはQ-Day(実用的な量子コンピュータの登場)を2030年ごろと想定。Googleは2029年までに実用的で誤り訂正された量子コンピュータ、PQC移行を目標としてロードマップを公開。
人工衛星によるQKDネットワーク
中国:Micius
欧州:Eagle-1とEuroQCI
量子暗号は実用段階にある。
署名など、対象が不定な応用は不得意。コストは高いので適用分野を決める。
PQC-QKDのハイブリッドシステムは検討の価値あり。
スライド後日公開あり!
量子技術による暗号への脅威と量子耐性をもつ暗号システムの可能性
— aki310 (@fox_aki310ooooo) 2026年7月18日
富田 章久(NICT:国立研究開発法人 情報通信研究機構 主幹研究員)
つぶやきメモ #HackFes
宇宙システムの攻防:事例分析とシミュレーションで学ぶ宇宙サイバーセキュリティ
鳥海 幸一(@Consejo_dei_X)
人工衛星、地上局、GNSS/GPSなどの宇宙システムは、通信・航法・観測を支える社会基盤として不可欠なインフラです。しかし、従来のITインフラとは異なる制約を抱え、近年はサイバー攻撃の新たな標的となりつつあります。本講演では、まず衛星本体・通信・地上局の基礎について解説し、OSINTによる情報収集リソースや最新の宇宙サイバーセキュリティ動向を紹介します。続いて、ジャミング、GNSS/GPSスプーフィング、衛星通信リンクの傍受、地上局への侵入など、過去に報告されたインシデント事例を分析することで宇宙システムに特有な脅威モデルを明らかにします。さらに、現在提案されているサイバー防御技術を取り上げ、宇宙システムの安全を守るために何ができるかを考察します。
4月~6月に開催した「航空宇宙サイバーセキュリティ」12時間分の講義を、50分で抜粋して講演。
「空と宇宙のサイバーセキュリティー入門」 サポートページ
ここに講義中に紹介したリンクとか講義内容も(?)公開予定
人工衛星は、地上局と無線通信(リンク)ができてこそ意味がある。
衛星バスは6つのコンポーネントがあり、どこに攻撃を受けたかで分類する。
(PCS、TC、AD&C、TT&C、C&DH、E&P)
通信プロトコルは大体CCSDS。暗号化されていない通信もある
■重要な軌道
極軌道(低軌道):近い(200~2000km)、遅延小
静止軌道(高軌道):遠い(35700km)、遅延大
→極軌道が通信衛星向き
10㎝四方サイズ以上の人工衛星を全て把握し公開している機関・サイトがある
宇宙サイバーセキュリティはもろELINT/SIGINT(信号の収集・識別・解析)
IoTセキュリティの問題と似ている
セグメント:宇宙S、通信I、地上G
脆弱なのは通信だが、地上に対してまで攻撃しないと意味がない。
BlackHat(セキュリティ学会)2024で、人工衛星を乗っ取るハンズオン講義が開催
人工衛星との通信は半分くらいしか暗号化されていない。地上から人工衛星からの通信を乗っ取るジャミング攻撃は、今でも紛争地域(中東など)で行われている。
運用中の衛星は約16000、スターリンクが10000。
今年のDEFCON34で航空宇宙CTFあり、オンラインでも参加可能。
宇宙サイバーセキュリティはブルーオーシャン!ぜひみんな参加してね。
(宇宙業界の人と、セキュリティ業界の人が、お互いがまだわかりかけていない。
宇宙システムの攻防:
— aki310 (@fox_aki310ooooo) 2026年7月18日
事例分析とシミュレーションで学ぶ宇宙サイバーセキュリティ
つぶやきメモ #HackFes
新卒3年目、やさしい地獄に立つ――セキュリティ診断サバイバル:<スポンサー・セッション> ユービーセキュア
AWSのrootユーザーにMFAがない、Azureのグローバル管理者が30人いる――こうした問題に、技術的な難しさはほとんどありません。CIS BenchmarksやCIS Controlsを開けば、推奨はシンプルに書いてある。それでも現場では、普通に起きています。
診断初日になってもID/PWが届かない。対象範囲がいつの間にか変わって混乱する。「この脆弱性って直すべきですか?」と聞かれ、「そりゃまあ……」と言葉に詰まる。脆弱性診断・ペネトレーションテストの現場は、技術以上に"運用のやさしい地獄"に満ちています。
問題の根っこにあるのは、技術不足ではなく、"当たり前"が言語化・共有されていないこと。本講演では、新卒3年目の診断員が現場で出会った「あるある」を、ガイドラインの解説も交えながらライトにお届けします。笑えるか、「あるねえ……」と遠い目になるか。診断の裏側を知れば、明日から自社の見え方が少し変わるかもしれません。
高校中退→フリーター(飲食)→IT系専門学校→セキュリティの道へ
実際に経験した”優しい地獄(パンドラの箱)”を3つ紹介
①この脆弱性っていつまでに直すべきですか
→なるはやは前提で、業務の優先度をCVSS(+出来たらEPSS、KEVの組み合わせ)で仕分け
参考:フロンティア AI による脅威変化を踏まえた金融機関等の短期的な対応」に係
る要請について
https://www.fsa.go.jp/news/r7/sonota/20260522-5/01.pdf
②Azureのグローバル管理者が30人います
CISの推奨は2~4人だが、、役職上位者の要求、「念のため」など。
→カスタムロール、PIMで時限付与
③検証環境に本番データを定期的にレプリケート
コピーが増えるほど攻撃面(守る箇所)も増える。近年も流失事例いくつかあり。
→例外フローも踏まえてルール作成、テストデータ作成、データ監視(仕組み化)
現場運用とルールの隙間に原因があり。セキュリティは技術ではなくルール整備で大体防げる。
ガイドラインが書かれたテキストのまま止まらないように。当たり前を棚卸も。
新卒3年目、やさしい地獄に立つ――セキュリティ診断サバイバル
— aki310 (@fox_aki310ooooo) 2026年7月18日
<スポンサー・セッション> ユービーセキュア
つぶやきメモ#HackFes
フェイクニュースの拡散現象とその対抗策:笹原 和俊(東京科学大学 教授)
近年、SNSを介したフェイクニュースの拡散は、社会的分断を助長し、民主主義の根幹を脅かす深刻な課題となっている。本講演では、計算社会科学の観点から、フェイクニュースがなぜ、どのようにネット上で拡散するのかを、具体的事例を交えて明らかにする。さらに、情報拡散ネットワークの分析、社会シミュレーション、オンライン実験といった多様な方法論に基づき、効果的な対策や介入の可能性を検討する。最後に、レジリエントな情報環境の構築に向けた課題と展望を論じる。
※ほかの運営都合で、後半20分ほどのみ参加
SNSでのフェイクニュース対策動画(19秒)により、感情操作を見抜く能力が21%向上。誤情報を見分ける能力は5か月持続。
SYNTHETIQ VISION(フェイク動画を見抜くツール)
XFinch実験(日本人1000人規模の疑似的SNSを作成し、フェイク動画を見抜くツール効果の検証)
検出ツール導入により、フェイク動画の共有は16~21%減少。本物動画の共有は31~36%増加。
ただ、AI判定を過信するケースもあり騙されるケースも。
フェイクニュースは情報生態系の全体を考える必要あり。インフォカリプスへの漸近、嘘つきの配当を防ぎたい。
フェイクニュースの拡散現象とその対抗策
— aki310 (@fox_aki310ooooo) 2026年7月18日
笹原 和俊(東京科学大学 教授)
つぶやきメモ 途中参加#HackFes
AI時代のバグハンティング入門 〜AIエージェントと歩むバグハンターへの道:森岡 優太(@scgajge12)
本講座では、バグバウンティを想定したWebアプリケーションを対象に、偵察から脆弱性調査に至る一連の流れをハンズオン形式で学習します。その過程で、ClaudeをはじめとするAIサービスを活用したテクニックも紹介します。特に、これからバグハンターとして活動を始めたい初心者の方に向けて、AI活用を前提とした効果的な始め方や注意点を解説します。
用意するもの:ローカルプロキシツール「Burp Suite or Caido」(必須)、AIサービス「Claudeなど」(任意)。
バグハンティングを行うためのツールやサイトを紹介頂き、ハンズオン形式で報告するところまでを体験。LLM時代、AI自動化スペクトラムは以下の6段階ある。
- チャットAI(インプット)
- ナレッジ特化(インプット強化)
- コーディングAI(コード化)
- AI駆動オペレーション(効率化)
- 自立型エージェント(自動化)
活躍しているハンターはレベル4か5。
知識ない人も4か5に飛びつき、脆弱性出ない報告が増加している。
→人間による判断と独自性の掛け合わせが勝機。
差別化の源泉:オリジナルなテクニックをAIに組み込めるかが大事。
感想
久しぶりにセキュリティ系イベントに参加できてとても知見あり、楽しかったです。
Sechack365時代の同期やトレーナーにも会えましたし、所属していた宇宙サイバーセキュリティの講演ではほぼオフ会になれました。
LLMがCTF(セキュリティコンテスト)で優勝するレベルまで性能が高まった今この時代に、専門家が何をどう考えて行動しているかを肌感覚で知れたのが収穫だったと思います。
また、昔から感じてはいましたが、改めてセキュリティ界隈は温かい人が多いと感じました。元々セキュリティキャンプ、Sechack365など教育事業を10年単位で開催してイベント慣れしているものあると思いますが、「セキュリティ対策で大切なのは人」と考え、繋がりや情報共有を大切にする文化が育っているのが大きいのかなと感じました。
今回見たかったけど参加出来なかった講演も沢山あり、もしオンライン公開している資料などあればぜひ教えて下さい~!
また来年も参加したいなあ。
(社会人としてボランティアスタッフ枠を取ってしまうのもアレだなと感じたので、次は会社を説得できるように頑張りたいです。
HackFesお疲れさまでした〜!!
— aki310 (@fox_aki310ooooo) 2026年7月18日
セキュリティ界隈のイベントは温かいな〜と感じました。また参加したいです🦊 pic.twitter.com/xGzNH8JT5D
普段セキュリティ畑ではない会社で、マネージャーだけど若手エンジニアの為に一緒に参加してた管理職の優しいお姉さまがいて、こういう方々を招待できているのが素晴らしいなと思いました
— aki310 (@fox_aki310ooooo) 2026年7月18日
Tシャツの謎解きとかもありました。
#hackfes
— べろんべろん (@Hang000ver) 2026年7月18日
さあ、謎を解くのだ✨️✨️✨️ pic.twitter.com/S1VVYHOsym








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